2013年05月07日

「三世因果のアブダクション」

岡部倫太郎を主人公とする2つ目のシナリオです。
岡部がまゆりを救うため奔走し、3つの世界線を行き来する物語ですが、
ミステリ仕立ての物語となっていて、謎を解き明かす楽しみがあります。
Dメールで過去を変えると岡部のリーディングシュタイナー能力が発動しますが、
この能力のため、新しい世界線では岡部が過去に自分が何をしていたのかという記憶がありません。
これを解き明かすことが物語の1つの鍵となります。
本編とはかなり離れた世界線の話ですが、
この結末にたどり着くことも、ひとつの幸せの形といえるかもしれません。
1話とは違った意味で、岡部がどれだけまゆりを大切に思っているのか、がわかるストーリーです。
そしてまゆりもまた、ラボのために自分ができることは何か?
を真剣に考えていることがわかります。
オチは以外とも言える内容ですが、今までの緊迫したシナリオとのバランスを考えると、
こういうのもアリかな、と思える内容です。

このシナリオをクリアすると、11番目のシナリオが出現します。

2013年05月03日

「昏睡励起のクアンタム」感想

桐生萌郁を主人公とするシナリオです。
桐生萌郁はラウンダーであるため、ラボメン達を「敵」とする視点から眺めるストーリーになります。
萌郁は母親代わりであるFBから、タイムマシン開発を邪魔するよう指令を受けているのですが、紅莉栖とまゆりと交流を続けるうちに、自分の行動に疑問が芽生えてきます。
萌郁にとって、FBとはメールでしかやり取りをしない相手ですが、
自分を死の淵から救い出してくれた絶対の存在です。
萌郁のFBに対する感情はほぼ依存と言っていいでしょう。

このストーリーでわかることは、ラボの雰囲気がいかに心地いいものであるかということです。
FBを信仰しているといってよい萌郁ですら、その指示を疑ってしまうほどに、ラボメン達の萌郁に対する対応は暖かく、特にまゆりと紅莉栖の優しさはラウンダーとしての自我すら揺らがせてしまうほどのものでした。
しかし、FBの指示は無情にも過激なものとなってゆき、萌郁はFBとラボメンたちとの友情に引き裂かれることになります。
そして、苦悩の末に萌郁が出した結論は、はじめてラウンダーではなく「桐生萌郁」として生まれ変わるための行動でした。
これはいわば、桐生萌郁の精神的自立の儀式であったともいえます。

まゆり・紅莉栖と萌郁のやりとりにスポットが当たったシナリオです。
特に、紅莉栖とのメールのやり取りは必見なので、携帯の履歴は読んでおきましょう。

「悠遠不変のポラリス」感想

椎名まゆりを主人公とするシナリオです。
このシナリオでは、まゆりは岡部と紅莉栖の様子がおかしいことに気づいており、その原因が自分にあることにも薄々感づいています。
しかし、科学知識に乏しい自分ではどうすることもできず、もどかしさを感じて苦しんでいます。
まゆりが岡部の「人質」である限り、あくまでまゆりは助けられる側の人間であり、主体的にこの状況を動かすことができません。
しかし、まゆりは誰よりも自己犠牲の精神の強いキャラクターであり、常に岡部の幸せを願っています。
そして自分のために紅莉栖の命が犠牲になるという結末にも耐えられません。
苦悩する岡部を救うためにまゆりがとった行動は、かなり思い切ったものです。
岡部を救うために、自分ができることは何なのか?を考えつくした末に、
この結論にたどり着いたのは、必然だったといえるのでしょう。

天然であるようで、本質的には賢いまゆりは、今日の悲劇を招いた根本の原因を知っています。
ここを正す方法は、岡部やクリスですら思いつかなかった解決方法です。
あるいは思いついても実行できなかった方法かもしれません。失うものがあまりにも大きすぎるからです。
これをためらいなく行えてしまう点が、まゆりのまゆりたる所以です。
岡部さえ苦しまずにすむのなら、自分はどれだけ多くを失ってもかまわない、
という想いからとったまゆりの行動の行き着く先に、果たして岡部の、そしてまゆり自身の幸せは存在するのか。
まゆりは願いをかなえることができたのか。
実際に読んで、確かめてみる価値のあるシナリオです。